【雑記】診療報酬改定に寄せて 1. マスコミが作ってくれたムーブメント

4月1日から平成28年度診療報酬改定が適応されました。診療機関での会計が変わります。私たちの薬局も、3月は準備や打ち合わせであわただしいものでした。しかしその甲斐あってか、4月は大きなトラブルも無く運営できています。

 

さて、今回の診療報酬改定にあたり、とても違和感がありました。

 

来局する患者さんのほとんどが、診療報酬改定があることを知っているのです。

 

「お薬手帳持ってくると薬代安くなるんでしょ?テレビで見たよ。」

「俺の会計は高くなったのかい?薬の値段変わったんでしょ?」

 

7割近くの患者さんから、そんな声を聞きました。テレビで知った、と言う声がほとんどでした。

 

私、今回が薬局長になって初めての診療報酬改定でした。その中でひとつの目標を立てていました。「会計の取り方が4月1日から変わることを、患者さんひとりひとりに口頭でしっかり説明すること」です。やはりお金のやりとりですから。たとえ患者さんが細かいことはどうでもいいと言っても、本人が困らないところまでは説明しなければいけないと思っています。当然のことなのでしょうが、これができていない薬局もたくさんありますし、できていない薬局の方が多い印象でした。病院などはなおさらできていないところが多いのではないでしょうか。うちのスタッフの皆も大いに賛同してくれ、強面の男性の患者さんにもめげず笑。3月からまめに「お薬手帳忘れないほうが会計が安くなります。」とアナウンスをしてくれていました。

 

が、一般の方々にここまで認知されていたというのは、うれしい誤算と言いますか、正直拍子抜けに感じたくらいです。

 

薬剤師会の方が仰っていました。「今回の診療報酬改訂は、マスコミの方々から取材の依頼が殺到しており、皆さんとても好意的に報道してくださる。」

 

本当に今回、マスコミには感謝しています。患者さん自身のお金の節約につながるのはもちろんですし、私たち薬剤師メンバーも、会計の説明にさく時間と労力を、患者さんの健康を損ねないための仕事にさく事ができました。お薬手帳そ持ってくるのを頑なに拒否していた患者さんたちが、報道を見てお薬手帳を持参してくれ、薬局で認知していなかった副作用歴が分かったりもしました。マスコミが診療報酬改定の報道をして下さったおかげで、患者さんたちのアドヒアランスが向上しています。それは劇的な変化に感じました。

 

いち薬剤師として、今までのアナウンスが足りなかったことを申し訳なく思うとともに、マスコミの方々が作って下さったムーブメントを、非常に心強く感じています。

 

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発注

医薬品はメーカー(製薬企業)が製造・販売している。しかし、薬局がメーカーから直接医薬品を購入するようなケースはほぼない。

 

薬局は、おろし。正確には卸売という。中間卸。仲買さん。)から医薬品を購入する。これはたとえば、スーパーマーケットが農家さんから直接野菜を買わないで、卸売から仕入れるのと全く同じ。

 

卸は各地区に配送センター(営業所)を持っている。配送センターにはありとあらゆる医薬品が保管されている。薬局で使う医薬品はこの配送センターに配達してもらったり、私たちが直接配送センターに取りにうかがったりして手に入れる。

 

薬局から卸へ、どの医薬品が何箱欲しいのか注文することを「発注をかける」と言う。発注は電話FAXのほか、卸のスタッフに直接口頭で発注をかけることもある。だが、昨今はもっぱらEOSイーオーエス。Electronic Ordering System / 電子発注システム)で発注をかけるのが主流。これはパソコンや小型端末からインターネット回線を使って発注をかけるもの。

 

EOSだが、薬局のスタッフは「機械発注」「端末発注」「在庫管理システム」「webオーダリング」などローカルな呼び方を使っていることも多くて、単に「EOS」と言うと、相手に意味が伝わらないことがある。

 

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在庫管理は大切な業務

私たち医療従事者は、もっと在庫管理の重要性を認識しなければいけないと思う。

ここで言う在庫管理とは、薬局や病院などで、医薬品をどれくらい買うか、買った医薬品をどのように品質管理していくのか、のことだ。

私が病院、そして薬局に新人薬剤師として就職したとき、とにかく在庫管理を覚えるのが大変だった。欠品を出しては周囲のスタッフから怒られてばかりだった。

在庫管理は薬学部のカリキュラムにも無かった。物流の本を読んで勉強しても、それがそのまま医療現場に応用できるわけもない。上司にやり方を聞いても「在庫はセンスだから」「出来て当然」との返答で、満足な答えは返ってこない。実習中の学生さんに在庫管理を体験して貰っても、食いつきは悪かった。

しかし当然、そんな甘い考えで在庫管理をしてよいはずがない。「硝酸薬を患者さんにお渡ししたが、使用期限が切れていた」「エピネフリン注が必要になったが、在庫を切らしていた」万が一こんなことがあれば、患者さんの命に関わりかねない。
そして在庫管理は薬局や病院の経営に影響を与える。医薬品の買い過ぎは経営を圧迫する。経営の悪化は医療サービスに悪影響を及ぼし、私たちの給料だって減る。

在庫管理は立派な「業務」だ。治療と経営を同時にマネジメントするという、医療従事者にとって最も重要な業務のひとつなのだ。自衛隊の薬剤師は医療物資を戦地の最前線に届けるため、パラシュート降下の訓練をしている。

私はその後、周囲にご迷惑をおかけしながらも、在庫管理のノウハウをある程度学ぶことができた。

在庫管理は重要な業務だが、頭をかかえることは無い。在庫管理にはノウハウがあり、方法論がある。必要なことだけを何となく知ってさえいれば、最低限の日常業務はこなせる。

とにかく、在庫管理のノウハウを体系化することが必要だ。そして、皆でノウハウを共有できたなら、すべての現場で在庫管理が上手く行き、薬に関わる人全員が幸せになる。

皆で幸せになったら良い。それが私の願いだ。

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