ではいよいよ、在庫管理者の一番大切な仕事、「在庫数の管理」について説明していこうと思う。
ただし、始めに「医療従事者のための在庫管理」について誤解のないようにしておきたい。
まず、これを読んでいるほとんどの人は、「在庫をしぼる(在庫を削減する)」ことを当面の目標にしているのではないだろうか。
在庫を削減する前に大前提として、まず言いたい。我々医療業界の在庫は、ただ削減すればよいというものではない。これは冒頭に話した通りで、医薬品が欠品すると、最悪患者さんの命に関わる。在庫は人の命と健康を守る糧。
あなたの上司は在庫をしぼれというだろう。また、一般の在庫管理の本には「在庫は0が理想」と声高らかに書いてある。が、医薬品の在庫管理は、工場や量販店とは少し違う。我々にとって欠品とは、場合によって危険なこと。そして恥ずかしいことだ、と、私は思う。
しかし、だからといって!
要らない在庫を抱えて、経営者やスタッフを困らせるのは、欠品と同じくらいいけないことだ。会社の経営が苦しくなって、薬局の経営もままならなくなったら本末転倒だ。散らかった調剤棚で、スタッフの調剤ミスを誘い、患者さんを危ない目にあわせてはいけない。